65歳からの栄養と食事
エネルギー過剰や低栄養など、個人差が大きくなる年代。消化力やのみ込む力に合わせ、食べやすくくふうします。
●基礎代謝や食事機能の低下をふまえて
★そしゃく、消化など食事機能の低下
高齢期では、骨格筋をはじめさまざまな組織の細胞数が減り、基礎代謝量が低下するとともに活動量も減るため、体内でのエネルギー消費量が減少します。
また、歯の欠落・味覚・臭覚・消化力など食事にかかわる機能も低下するため、食欲不振を招きやすくなります。
★年をとるにつれ個人差が・・・
この年代は、健康状態や活動量の個人差が大きく、年をとるにつれその差はますます開きがちです。
活動的な高齢者ほど筋肉の衰えが少なく、基礎代謝も盛んで、食欲旺盛です。
一方、活動性が低下してエネルギー消費量が減少しているのに、食べ過ぎで肥満を招き、各種疾患を誘発している場合も少なくありません。
●食事内容に変化を持たせ食べる意欲を高める
★食事意欲の低下に配慮する
消化機能などが低下してくると、食事への関心が衰え、食欲がなくなる場合もあります。
食欲不振の人には、食事時間を決める・間食を控える・彩りや季節感を生かす・香辛料を使うなどのくふうをすると、胃液の分泌が促され、食欲が出てきます。
ときには外食やお弁当にしたり客を招いたりして雰囲気を変えると、気分転換になって食欲がわいてきます。
体調の悪いときは無理せずに食べられるものだけを食べ、水分補給を心がけます。
また、不自由な歯は食事内容の低下につながります。
歯が不自由だから食べやすい調理法にすることも大事ですが、歯を治療し、なんでも食べられるようにすることも大切です。
★便秘に注意する
腸の蠕動運動は、年とともに低下するため、便秘になりがちです。
消化のよいものばかり食べると、さらに助長します。
繊維質の多いいも類や海藻・豆類・おから・きのこ・野菜を積極的にとり、水分を充分に補うことも必要です。
●ナイトキャップ(寝酒)代わりの水やお茶が生命を救う
高齢になると、のどのかわきを感じにくくなって水分摂取量が減る傾向があり、脱水症状の危険が高まります。
のどがかわいていなくても、水やお茶をとるようにします。
夜間は血液の粘度が高まって血栓を起こしやすいため、寝る前の補給は特に重要です。
トイレが気になる人は、ゼリーや、夕食に豆腐(水分90%以上)を食べるのもおすすめです。
●タンパク質不足などの低栄養にならないように少量で高栄養の食事をしっかりとる
■高齢者のための食事学
年をとるとともに消費エネルギーは低下しますが、タンパク質やビタミン、ミネラルの必要量はそれほど変わりません。
お茶漬けやざるそばだけの簡単な食事では、栄養不足になります。
食欲がわくような配慮をしつつ、栄養素がハランスよくとれるように心がけます。
良質タンパク質をしっかりとる
魚介・肉・大豆製品・卵・牛乳などの良質タンパク質食品が不足しないようにします。
調理にひとくふうを
そしゃく力や飲み込む力に合わせて材料を選び・切り目を入れる・ミンチにする・とろみをつける。
おかずから食べる
不足しやすい良質タンパク質・ビタミン・ミネラル・食物繊維の多いものを優先して食べます。
ゆっくり、よくかんで食べる
かめばかむほど、だ液がたくさん出て消化を助けます。
よくかんでゆっくり味わって食べましよう。
食欲がわいてくるくふうを
旬や産地にこだわった食材・彩り・香り・食感・器・盛りつけなどにも変化を持たせます。
空腹感が最高の味つけ
だらだらと間食を続けたりしないで、体も適度に動かしていれば、おなかも自然にすいてきます。
空腹感は何よりの食欲の元です。
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