ダイエットと脂肪酸の種類の関係について

ダイエット・栄養素の基礎知識(脂質編)
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  1. ダイエットと脂肪酸の種類を正しく理解
    1. 脂肪酸の種類とは
    2. 脂肪酸の種類の特徴
      1. 1本の炭素の鎖がメインの簡単構造。
    3. 脂肪酸の種類の分類
      1. 脂肪酸は二重結合の有無で2タイプに分類。
    4. 必須脂肪酸
      1. 必須脂肪酸は3つ
      2. 必須脂肪酸が不足すると抵抗力が低下
    5. 脂肪酸の種類と働き
    6. 脂肪(fats)とは(学術向上予備知識編)
      1. 〔脂肪の種類〕
    7. 脂肪エネルギー比(fat energy ratio)とは(学術向上予備知識編)
    8. 肝臓の病気=肝疾患(liver disease)とは(学術向上予備知識編)
      1. 〔肝疾患の分類〕
        1. 脂肪肝とは
        2. 肝炎とは
        3. 肝硬変とは
        4. 肝腫瘍とは(おもに肝臓がん)
      2. 〔肝臓におこる変化による分類〕
    9. 急性肝萎縮症(acute atrophy of the liver)とは(学術向上予備知識編)
      1. 急性肝萎縮症の病因
      2. 急性肝萎縮症の症状
      3. 急性肝萎縮症の治療
    10. 急性肝炎(acute hepatitis)とは(学術向上予備知識編)
      1. 急性肝炎とは
      2. 急性肝炎の分類
    11. 慢性肝炎(chronic hepatitis)とは(学術向上予備知識編)
      1. 慢性肝炎とは
      2. 慢性肝炎の症状
      3. 慢性肝炎の予後
    12. ウイルス性肝炎(virus hepatitis)とは(学術向上予備知識編)
      1. 流行性肝炎
      2. 血清肝炎
    13. ウイルス性肝炎の症状
      1. ウイルス性肝炎の前駆期
      2. ウイルス性肝炎の黄痘期
      3. ウイルス性肝炎の回復期
    14. ウイルス性肝炎とは、予防と治療について
    15. ウイルス性肝炎の診断と治療
    16. 肝炎ウイルスに対する対策
    17. ウイルス性肝炎の食事療法の原則
    18. ウイルス性肝炎の予後
    19. 肝硬変(liver cirrhosis)とは(学術向上予備知識編)
      1. 肝硬変とは
      2. 肝硬変の原因
        1. 肝硬変の原因、ウイルス肝炎
        2. 肝硬変の原因、アルコール
        3. 肝硬変の原因、中毒
        4. 肝硬変の原因、栄養障害・代謝障害
        5. 肝硬変の原因、その他
      3. 肝硬変の症状
        1. 甲型肝硬変
        2. 乙型肝硬変
        3. 脂肪性肝硬変
      4. 肝硬変の症状と診断を細分化
        1. 肝硬変の症状と診断を細分化、甲型肝硬変
        2. 肝硬変の症状と診断を細分化、乙型肝硬変
        3. 肝硬変の症状と診断を細分化、脂肪性肝硬変
      5. 日本人の肝硬変
      6. 肝硬変の治療
      7. 肝硬変の食事療法
    20. 肝昏睡・肝性脳症(hepatic coma,hepatic encephalopathy)とは(学術向上予備知識編)
      1. 肝昏睡・肝性脳症の症状
      2. 肝昏睡・肝性脳症の原因
      3. 肝昏睡・肝性脳症の治療
    21. 脂肪酸(fatty acid)とは(学術向上予備知識編)
      1. 〔脂肪酸の構造・分類〕
      2. 図:血清リポタンパク質の機能
      3. 図:ヒト血清アポリポタンパク質の機能と分布
      4. 図:食用油脂の脂肪酸組成(%)
      5. 図:不飽和脂肪酸のシス-トランス異性体
      6. 図:市販マーガリンのトランス酸含量
      7. 図:必須脂肪自主欠乏症状の治癒に対する各種脂肪酸の効力(ラット)
      8. 図:高等動物における脂肪般の生合成と不飽和化反応

ダイエットと脂肪酸の種類を正しく理解

脂肪酸の種類とは

中性指肪の構成成分である脂肪酸は、炭素数や結合のしかたもいくつかのタイプがあります。

また、体内での働きも異なります。

脂肪酸の種類の特徴

1本の炭素の鎖がメインの簡単構造。

脂肪(中性脂肪)の構成成分である脂肪酸には、いろいろな種類があります。

脂肪の性質は、どのような脂肪酸で構成されているかによってまったく異なります。

脂肪酸は、炭素と水素が手を組んで1本の鎖状に連なった片端にカルボキシル基が結合した構造をしています。

(下図)

炭素数は偶数で天然の油脂では炭素数14以上のものが多く、なかでも16と18のものが多いのが特徴です。

脂肪酸の種類の分類

脂肪酸は二重結合の有無で2タイプに分類。

脂肪酸は、構造的な特徴から飽和脂肪酸不飽和脂肪酸に分けられます。

鎖状につながった炭素にすべて水素が結合しているのが飽和脂肪酸です。

一方、不飽和脂肪酸とは、炭素と水素が結びつかずに炭素同士が二重結合している部分を持っています。

さらに、二重結合が1個のものを一価不飽和脂肪酸、2個以上のものを多価不飽和脂肪酸と呼びます。

多価不飽和脂肪酸のうち、炭素鎖の何番目がご重結合しているかによって、n-3系、n-6系などに分類されます。

この系列によって性質や栄養的価値が大きくなります。

飽和脂肪酸不飽和脂肪酸の説明はここをクリック)

必須脂肪酸

体内合成できないので食べ物から摂取しましょう。

脂質の主成分と脂肪酸の違いをしっかりと理解して、太りにくいタイプを摂取しましょう。

まず、体脂肪を減らすためには、食材中でもっとも高カロリーである脂質を見直す事がとても大切です。

しかし、極端に脂質を減らす事は、様々な不調が体に起こります。

特に肌荒れ「肌がカサカサに乾燥」、湿疹、ホルモンの分泌が減り、便秘になるなどです。

だからこそ、最適な量と体に良い脂質摂るように心がけましょう。

必須脂肪酸は3つ

成長や健康維持のために不可欠な脂肪酸のうち、体内で合成することができない脂肪酸を必須脂肪酸といいます。

多価不飽和脂肪酸のリノール酸、αリレン酸、アラキドン酸の3つがこれに当たり、食べ物からとらなければなりません。

ポイントです。

よく必須と聞きませんか?

必須アミノ酸はたんぱく質の構成要素であり、必須脂肪酸は脂肪の構成要素ですが、同じ必須でも必須糖質は存在していません。

必須脂肪酸が不足すると抵抗力が低下

必須脂肪酸は、細胞膜を構成するリン脂質の成分として、細胞内外の物質透過などの機能の維持にかかわっています。

不足すると、皮膚に異常が現れたり、感染症にかかりやすくなります。

また、必須脂肪酸は、リポタンパク質(コレステロール参照)の構成成分として血中脂質の運搬にもかかわっており、コレステロールの血管への沈着、脂質異常症の抑制に効果があるといわれています。

リポタンパク質の説明はここをクリック)

脂肪酸の種類と働き

二重結合の有無など、種類によって体内での働きが大きく異なります。

炭素原子のn末端から何番目に最初の二重結合があるかで系列が決まります。

リノール酸は6番目にあるので、n-6系列、αリノレン酸は3番目なのでn-3系列となります。



脂肪(fats)とは(学術向上予備知識編)

脂肪とは一般に脂質(lipid)のうち、中性脂肪すなわちグリセリンと脂肪酸のエステルのみを指しています。

しかし、場合によっては脂質と同義語として用いることもありますので、注意する必要があります。

〔脂肪の種類〕

脂肪でもっとも主要なものは、トリグリセリドであり、この分解物としてのジグリセリド及びモノグリセリドも含まれています。

また、モノグリセリドなどでは、その脂肪酸のエステル化されている位置によって、α-モノグリセリドあるいは、β-モノグリセリドなどに、細かく指示することもあり、さらに構成する脂肪酸の炭素鎖によって、長鎖トリグリセリド(LCT)とか中鎖トリグリセリド(MCT)と区別されます。

脂肪エネルギー比(fat energy ratio)とは(学術向上予備知識編)

1日当たり、あるいは1食当たりの総エネルギーに対する脂肪によるエネルギーの比率を言います。

最近では、先進諸国で高脂肪による成人病などが問題とされており、この比率が一種の栄養指数として用いられています。

1977年に発表されたアメリカの食事目標では、この比率を30%とすることが勧告されています。

また、日本国内でも平成6年に策定された栄養所要置でも成人について、この比を20~25%に、18歳以下では25~30%にすることが望ましいとしています。

肝臓の病気=肝疾患(liver disease)とは(学術向上予備知識編)

肝疾患の原因には(胆道閉塞)、ウイルスなどの病原菌による感染から中毒など種々のものが知られていますが、肝臓にみられる病態の変化には共通点が多いのが特徴です。

軽度の症状等の軽いときには、一般に食欲不振や体重減少ぐらいで、自覚しないこともありますが、次第に肝の肥大・黄痘・脂肪肝・腹水などが発生し、進行すると肝は壊死をおこして、悪化すれば肝硬変に移行します。

〔肝疾患の分類〕

肝臓癌以外で問題となるのは、脂肪肝と肝炎及び肝硬変です。

脂肪肝とは

酸素供給の不足(貧血など)、中毒(アルコール・リン・クロロホルムなど)、全身性代謝障害(高脂血症・糖尿病・内分泌疾患など)などによっておこります。

肝炎とは

急性肝炎と慢性肝炎に分けます。

急性肝炎はウイルス性と中毒性とに大別され、これをさらに流行性肝炎と血清肝炎とに分類します。

肝硬変とは

各種肝疾患の終着駅とも表現しています。

肝細胞が破壊されて、その部分が繊維組織に入れかわるために、肝が文字通り硬くなり、肝機能が大幅に低下してしまいます。

肝腫瘍とは(おもに肝臓がん)

肝に原発するものと、他のの臓器から転移してきたものとがあります。

〔肝臓におこる変化による分類〕

肝臓は肝小葉をつくっている肝細胞と、グリソン鞘内を走っている血管・胆管などからできています。

肝疾患はこれらのいずれかに病変がおこってくることをいいます。

急性肝萎縮症(acute atrophy of the liver)とは(学術向上予備知識編)

急性肝萎縮症の病因

主としてウイルス性肝炎にみられ、発症後数日ないし10日前後で、肝不全の症状をおこして死亡するとても怖い症状で、劇症肝炎(電撃性肝炎)ともよばれています。

肝細胞が急激かつ広汎に壊され、肝が急速に縮小し、かつ黄色を呈することが多いので、急性黄色肝萎縮症ともよばれています。

この症状の大部分は、ウイルス性肝炎によりますが、薬物性肝障害でもおこります。

この場合、大部分はアレルギー性反応によるといわれ、サルバルサン(ヒ素)はその代表です。

その他、リンや毒茸・有毒・魚介類でもこの症状をおこすことがあります。

急性肝萎縮症の症状

全身倦怠・食欲不振・幅吐・頭痛・発熱などが数日間つづき、黄痘があらわれて全身状態が急速に悪化して、 肝不全におちいり数日~10日以内に死亡します。

とくに、重要な症状は精神神経症状であって、見当識障害・失行症、ときには躁狂状となり、精神病と誤ることもあります。

頭痛のはげしい例では、髄膜炎と間違うこともあります。

手指の羽ばたき振戦もみられ、肝性昏睡に陥って死亡します。

肝機能検査ではGOT・GPTの上昇が高度ですが、末期には低下することがあります。

急性肝萎縮症の治療

副腎皮質ホルモンや合成ACTHを糖液や各種ビタミンの点滴静注に併用しますが、多くは期待できません。

交換輸血が有効な場合もありますが、そのためには数リットルの血液が必要となります。



急性肝炎(acute hepatitis)とは(学術向上予備知識編)

急性肝炎とは

慢性肝炎に対する病名であり主として急性に経過するウイルス性肝炎を意味しますが、急性薬物生肝炎を包含することもあります。

急性ウイルス性肝炎の定型的なものは3~6か月以内に症状も肝機能検査も正常化します。

急性肝炎の分類

次のように分類されます。

(1)急性黄痘性肝炎:これには定型的なものと胆汁うっ滞型があります。

(2)急性無黄痘性肝炎

(3)劇症肝炎

(4)持続性肝炎:急性ウイルス性肝炎の状態が長くつづくものをいいます。

慢性肝炎(chronic hepatitis)とは(学術向上予備知識編)

慢性肝炎とは

ウイルス性肝炎(急性)は普通3~6か月で治癒しますが、それ以上症状や臨床検査成績の異常が続く場合には、遷延性肝炎といいます。

発症後6か月~1年の問を遷延性肝炎、1年以上たってもなおらないものを慢性肝炎とよぶこれは、あくまでも臨床的なよび方で、肝組織像を基礎としたものではない病理組識学的には、活動型と非活動型とに分類されます。

慢性肝炎の症状

特有な臨床症状は少なく、食欲不振・全身倦怠・ときに賞痘や肝腫大・牌腫大をみとめています。

臨床検査成績としては、血清膠質反応、特にZTTが高度陽性を示し、α-グロブリンの増量をみとめています。

血清トランスアミナーゼ活性値は若干高値を示し、GOT>GPTです。

慢性肝炎の予後

再燃をくりかえすものは、その度毎に悪化し、肝硬変症へ移行するものがあります。

最近オーストラリア抗原の検査がルーチン化し、これが陽性で持続するものは活動型が多く、肝硬変症になることが多いといわれています。

ウイルス性肝炎(virus hepatitis)とは(学術向上予備知識編)

以前までカタル性黄痘とか単純性質痘とよばれていました。

肝炎ウイルスの感染による肝臓の病気を肝炎といい、中毒によるものは中毒性肝障害とよんで、区別しています。

肝炎ウイルスにはAとBの2種があり、Aは流行性肝炎を、Bはく血清肝炎をおこします。

流行性肝炎

肝炎ウイルスAの経口感染によりますが、ときには大流行する発病までの潜伏期は短く15~50日、発病は急激で経過もはやく、順調になおることが多いです。

血清肝炎

経口感染もありますが、おもに輸血や注射などを介してB型ウイルスで感染し、大統行はまれです。

潜伏期はA型よりも長く、50~150日です。

輸血を受けた人の15~20%が血清肝炎にかかるとされています。

発病はゆるやかで症状もあまり強くないですが、しかしなおりにくい傾向があります。

重症の肝炎になるのはA型よりもB型に多いです。

なお、血清肝炎の血中には、HB抗原・オーストラリア抗原が検出され、これは肝炎ウイルスBの存在を示すので、診断の助けとなりました。

流行性肝炎と血清肝炎とを区別することは実際上困難なことが多いです。

一般に肝炎ウイルスの感染をおこしても、大部分は無症状に経過し、発病するのは10%以下として考えられています。

明らかにオーストラリア抗原陽性の血液が侵入しても、抗体ができるだけで、肝炎にならない人はたくさんいます。



ウイルス性肝炎の症状

多くの場合次の3期にわけられます。

ウイルス性肝炎の前駆期

発病初期には、かぜのように37℃~38℃前後の発熱があり、体がだるく・疲れやすく・脱力感があります。

食欲がなくなり・吐き気がしたり・腹の張る感じも自覚します。

ふつうの風邪と違う点は、異常に強いだるさと・食欲の著しい低下が特徴です。

ウイルス性肝炎の黄痘期

前駆期が4~7日ぐらいつづいて、尿の色が濃くなり、褐色尿になります。

まもなく眼球や皮膚が黄色くなってきます。

だるさ・疲労感・食欲不振・吐き気などはく黄痘の出現する前後4~5日間に強くあらわれます。

黄痘のピークは1週間ぐらいで、その後は次第に軽くなります。

しかし、黄痘は約1か月ぐらいは持続します。

ウイルス性肝炎の回復期

黄痘がとれて全治するまでの期間であって、黄痘の消失とほぼ平行して、自覚症状がなくなり、元気が回復していきます。

しかし、肝機能検査ではまだ異常をみとめる時期が1~2か月は持続します。

この時期に無理をすると再発する恐れがひじょうに高いです。

ウイルス性肝炎とは、予防と治療について

上記のように症状が表面にあらわれないものでも、血液や糞便中に肝炎ウイルスが存在し、これが感染源となる可能性があります。

肝炎ウイルスはひじように強く、常用されている消毒薬はほとんど無効です。

また、ちょっと煮沸しただけでは肝炎ウイルスは死なず、乾熱滅菌や焼却などの強い加熱処理だけが有効です。

ガンマグロプリン注射は、発症したときの症状をいくらか軽くしますが、予防効果があるとはいえません。

上下水道の完備の程度と、HB抗原の陽性率は逆比例するといわれています。

個人でできる予防法としては、手指・衣服・食器の汚染に対する注意が必要です。

なお、蚊の中にHB抗原が見いだされることもあるので、蚊の駆除も大切です。

また、非経口的な感染に対する対策としては、注射器具の消毒には十分の注意を要します。

ウイルス性肝炎の診断と治療

急激な発病につづいて貧痘が出現するような、典型的な急性肝炎は診断しやすくなります。

また、臨床検査によってGOT・GPTのような肝細胞障害を示す酵素の活性が急上昇することも、診断の根拠になります。

同じような症状・経過・検査成績を示すものとして薬剤による肝障害・アルコール性肝障害をはじめ、急性増悪を示す慢性肝炎や肝硬変などがあります。

胆石症との区別を必要とすることもあります。

胆石症では、右上腹部に強い痛みがありますが、肝炎では重苦しい感じ、または鈍痛の程度です。

HB抗原が血中から検出されれば、そのほとんどが肝炎です。

時には肝の生検(bi-opsy)の必要なこともあります。

治療方針としては、病気の初期に安静(少なくとも3週間)が肝要です。

最初に無理をすると重症になったり、回復が遅れます。

なお、自覚症状や黄痘がはっきりしている期間は入院が原則となります。

肝炎ウイルスに対する対策

肝炎ウイルスに効く薬は今のところありません。

副腎皮質ホルモンの注射やステロイドホルモンの使用が有効なこともあります。

交換輸血が必要なこともあります。

しかし、この場合は5リットル前後の血液が必要です。

ウイルス性肝炎の食事療法の原則

急性肝炎の初期から黄痘のピークにかけては、食欲低下や吐き気などのためになかなか食事を受けつけられません。

この時期には、消化のよい食事をえらんで摂取してください。

回復期になれば高タンパク・高エネルギーを原則とします。

ただし、精神神経症状が少しでも認められる場合はアンモニアの蓄積が原因ですから、食物中のタンパクを30g以下に制限します。

この場合には脂肪と糖質によってエネルギー補給が大切です。

なお、腹水のあるときはナトリウム制限を行います。

ウイルス性肝炎の予後

急性肝炎の大半(約85%)は、3~6か月で全治するA型よりもB型の方が、慢性肝炎や肝硬変に移行しやすいです。



肝硬変(liver cirrhosis)とは(学術向上予備知識編)

肝硬変とは

肝臓の病気が長く続くと、肝臓に線維がふえて硬くなってきます。

この状態を肝線維症といい、まだ肝硬変とはいいません。

肝細胞は再生カがとてもつよく、障害からとり残された肝細胞は丸い再生結節をつくり、肝臓全体がブドウの房のようにつぶつぶになります。

この再生結節の周りを線維がとりかこんでいます。

このようにして、血管の形も肝臓全体の構造も変わって、正常な機能を果たせなくなります。

このような状態を肝硬変とよびます。

どんな種類の肝臓病でも、ある程度以上に強い変化が十分長くつづくと、肝硬変に移行します。

したがって肝硬変は、すべての肝臓病の終末像といえるのです。

肝硬変の原因

次のように多くの原因があります。

肝硬変の原因、ウイルス肝炎

日本では肝硬変の原因として一番多いです。

肝硬変の原因、アルコール

日本ではあまり多くはないですが、欧米に多いとされています。

食事を十分に摂取せずに、大酒を飲んでいる場合、とくにタンパク質が不足しているときには障害をおこしやすいです。

肝硬変の原因、中毒

ヒ索やDDTなどが知られています。

肝硬変の原因、栄養障害・代謝障害

ガラクトース血症、免疫タンパクの異常などです。

肝硬変の原因、その他

長くつづく胆汁うっ滞や循環障害、寄生虫(日本住血吸虫症など)、先天性梅毒などです。

肝硬変の症状

大別して3通りあります。

甲型肝硬変

激症肝炎のようにはげしい肝細胞の障害が短期間におこり、肝細胞がたくさん死ぬ、この場合にその部分は線維におきかえられ、残った肝細胞はさかんに再生して結節をつくります。

このタイプの経過は半年から2年ぐらいの短かいものです。

また、臨床症状もはげしく、肝機能は強く障害され、ひじように危険です。

乙型肝硬変

肝細胞の障害は比較的軽く、線維のふえ方もおそく、10~20年かかって肝硬変に移行します。

したがって、ふつうの検査ではわからないこともあります。

脂肪性肝硬変

タンパク質やエネルギーの少ない食事しかとらないで、大酒ばかり飲んでいると、脂肪肝になります。

このような状態が10年以上つづくと、細い線維が肝細胞のまわりを取り囲み、小さい結節の肝硬変になります。

このタイプでは、肝機能は比較的よい状態に保たれています。

末期になってから強い症状が出現します。

以上のほか特殊な肝硬変として、胆汁性肝硬変・心臓性肝線維症・パンチ症候群などが知られています。

肝硬変の症状と診断を細分化

上記のように肝硬変のなりたち方は多種になり、症状も多様にわたり、一口にいえるような特徴的な症状はない型による症状は次のような症状です。

肝硬変の症状と診断を細分化、甲型肝硬変

だるい・食事がまずい・黄痘・やせる・腹水がたまる・むくむ・厚い舌ごけがつく・手がふるえる・精神異常などの強い症状があり、一見して重病人とわかるとき。

肝機能検査では、血清タンパクとくにアルブミン濃度の低下・胆汁色素の増加・血清コレステロールの減少・トランスアミナーゼの増加をみとめます。

肝硬変の症状と診断を細分化、乙型肝硬変

ほとんど症状はないですが、肝臓の腫大があり、肝生検や腹腔鏡検査で、肝硬変を知ることが多いです。

なお、この型には肝癌(ヘパトーマ)ができやすいです。

日本では、肝硬変の約半数がこの型となり、さらにその半数に肝癌が発生するといわれています。

肝硬変の症状と診断を細分化、脂肪性肝硬変

肝腫大がおもなものです。

断酒して食事療法を行えば予後はそんなに悪くありません。

日本人の肝硬変

肝硬変の型は、人種・食事・風俗・習慣によって大差があります。

日本人では、甲型22%・乙型66%・脂肪性5%・その他7%であるといわれています。

肝硬変の治療

原則として、第1にその原因をとり除く、次に障害された肝細胞の再生を助け、もしできれば線維が吸収されるよう努力します。

その他合併症を防ぐことや肝硬変に伴う症状に対して対症療法を行います。

多くの肝硬変は、肝炎ウイルスを除去できないのが現状ですから、原因の除去は困難です。

しかし、アルコールや低栄養の場合、および中毒の場合には、それらの原因を除去することは容易です。

とくにアルコールの場合は禁酒と食事療法を早期に実施すれば治療が可能です。

いずれにしても肝硬変は入院加療の必要な疾患です。

肝硬変の食事療法

高タンパク・高エネルギー・高ビタミン食を必要とする肝硬変になると、タンパク質の合成が減少し、アルブミンも減少します。

また、体内での物質代謝に必要な酵素の生成も低下します(酵素もタンパク質からできている)。

これらが良質のタンパク質を含んだ食事を必要とする理由です。

原則として良質のタンパク質を体重1kg当たり2~2.5g与えます(普通人の約2倍にあたる)。

なお、胆汁性肝硬変のような特別なものを除くと、脂肪を制限しなくてもよい。

次に浮腫や腹水の発生を予防する意味で、食塩は1日10g以下におさえます。

血中にアンモニアがふえると精神神経症状があらわれることがあります。

この場合には摂取タンパク量を制限する消化管出血の場合には絶食して、2~3日して止血したことが確認されたら、徐々に流動食を与えます。

いつまでも流動食を続けることはなく、早期に栄養の多いものを努力して与えるほうがよいです。



肝昏睡・肝性脳症(hepatic coma,hepatic encephalopathy)とは(学術向上予備知識編)

肝昏睡・肝性脳症の症状

急性肝炎のうち、ひじょうに症状が重く、状態が急速に悪化するものは劇症肝炎とよばれ、昏睡に陥って死亡することが多いです。

幸い回復しても、肝硬変になる傾向が強いです。

肝硬変ではしばしば肝性脳症とよばれる精神・神経症状が現れます。

すなわち奇妙な行動をしたり、記憶力や認識力の低下が起こったり、さらには眠けが強くなり、続いて昏睡に陥ります。

肝昏睡・肝性脳症の原因

肝性脳症は、血中のアンモニアが異常に増加するためと考えられています。

腸内で食物のタンパク質から細菌によって生成されたアンモニアは、門脈血に吸収され、肝臓に達し、正常であれば尿素などに合成され、解毒されます。

ところが肝硬変では、肝細胞の解毒作用が低下しているうえに、門脈血がバイパスを通り(肝臓を素通りして)、直接に大循環に入り、異常に高濃度のアンモニアが脳に達し、脳の機能を障害hし、精神・神経症状をひきおこします。

肝昏睡・肝性脳症の治療

肝性脳症には安静臥床が必要です。

食事中のタンパク質はアンモニアの生成源ですから、なるべく低タンパク食にします。

一方腸内細菌の発育を抑えるために、適用な抗生物質を与えたり、浣腸などによって腸内をきれいにします。

脂肪酸(fatty acid)とは(学術向上予備知識編)

〔脂肪酸の構造・分類〕

図:血清リポタンパク質の機能

図:ヒト血清アポリポタンパク質の機能と分布

食品中に含まれる脂肪酸のほとんどは炭素数偶数で直鎖の一塩基酸ですが、奇数鎖・分枝鎖のものや水酸基・炭素環を有するものなども存在します。

脂質中では遊離型のものは少なく、主としてエステル、一部はアミドとして存在します。

脂肪酸は不飽和結合の有無により飽和脂肪酸とく不飽和脂肪酸に大別されています。

食品脂質中の飽和脂肪酸としてはパルミチン酸(C18:0)が最も多いです。

ステアリン酸(C16:6)はウシ・ヤギなど反芻動物の体脂肪に多く含まれています。

しかし植物では品種・栽培法などで、動物では飼料組成・飼育環境あるいは体内の部位によって、また魚類ではこのほか季節によって脂肪酸組成に大きな違いがあります。

図:食用油脂の脂肪酸組成(%)

ラッカセイにはC20:0,C22:0、ヤシ油・パーム核油にはC10:0,C12:0,C14:0、反芻動物の乳脂にはC4:0,C6:0,C8:0が存在します。

このような特徴がある飽和脂肪酸の融点は、相応します。

不飽和脂肪酸のそれよりもかなり高いので、液体油に比べ固体脂では、飽和脂肪酸の占める割合が高くなります。

脂肪酸はその炭素鎖長により、短鎖・中鎖・長鎖脂肪酸にわけることがあります。

この区別は明瞭でないですが、一般に炭素数8~10を中鎖脂肪酸といいます。

炭素数が少ないほど融点が低く、水に対する溶解性にとむのです。

また、炭素数10をさかいとして低級および高級脂肪酸にわけたり、炭素数12以下の脂肪酸を揮発性脂肪酸とよぶこともあります。

中鎖脂肪酸からなるトリグリセリドは中鎖脂肪(me-dium chain triglyceride,MCT)といわれ、吸収後遊離脂肪酸として門脈経由で運ばれます。

炭素数16,18を主成分とする脂肪(例えばトリパルミチン・トリステアリン)は不飽和脂肪酸の多い脂肪より消化吸収率が低い飽和脂肪酸は、血清コレステロール濃度を上昇させる作用を有するので、高コレステロール血症改善のための食事療法に際して摂取量を少なくするよう注意が必要ですが、すべての飽和酸が問題となるのではなく、ミリスチン酸C14:0とパルミチン酸が影響力の大きい脂肪酸で、ステアリン酸はこの点に関しては、一般に中性とみなされています。

不飽和脂肪酸のうち二重結合1個のものは、モノ不飽和脂肪酸、2個以上のものは、多価不飽和脂肪酸(高度不飽和脂肪酸)とよばれています。

二重結合の位置はカルボキシル炭素を1として順次番号をつけて表されるで、代謝的相関性などの面からしばしばメチル基を基準にして順次数える(ω命名法)も採用されます。

二重結合の立体構造はほとんどがシス型です。

食品中のモノエン酸の大部分は、きわめてまれな例外を除けば、オレイン酸(C18:1)です。

パルミトレイン酸(パルミトオレイン酸C16:1)も少量ながら広く分布します。

ナタネ油こはエルカ酸(エルシン酸C12:1)が多く存在しますが、品種改良によってエルカ酸をほとんど含まないものが得られるようになっています。

エルカ酸は長期間多量摂取すると心臓などにトリグリセリドとして沈着し、線維症「フィブロシス=フィブローシス(同義語)」を起こさせることがラットで知られています。

必須脂肪酸欠之動物ではオレイン酸からおそらく補償作用のためアイコサトリエン酸(C20:3)が生成するので、この酸のアラキドン酸に対する比(C20:3/C20:4)は必須脂肪酸栄養状態の判定に役立ちます。

食餌オレイン酸は血清コレステロール濃度に対し中性とみなされています。

食品脂質の不飽和脂肪酸の中には、トランス二重結合を有するものがあります。

図:不飽和脂肪酸のシス-トランス異性体

植物油の部分水素添加に際して種々のトランス型不飽和酸が生成します。

オレイン酸のトランス型であるエライジン酸がもっともよく知られています。

したがって、トランス酸はマーガリン、ショートニング中に含まれます。

図:市販マーガリンのトランス酸含量

また、反芻動物の乳脂中にもトランス酸が存在します。

人はトランス型不飽和酸をシス型不飽和酸と同程度吸収しますので、脂肪組織でも容易に検出されます。

代謝的にはトランス酸は飽和酸とシス型不飽和酸の中間にありますが、トランス型多価不飽和酸は、もし必須脂肪酸の摂取量が十分でないと置き換わって取り込まれ生体に対し悪影響を及ぼします。

多価不飽和脂肪酸の代表的なものに、リノール酸(C18:2)、リノレン酸(C18:3)、アラキドン酸(C20:4)および魚油中に多い、ペンタエン酸(C20:5,C22:5)、ヘキサエン酸(C22:6)などがあります。

動物はリノール酸・リノレン駿を合成しえないので食餌として摂取する必要があり、必須脂肪酸とよばれています。

アラキドン酸は、より効果の高い必須脂肪酸ですが、動物はリノール酸からこれを合成することができます。

リノレン酸は一般の食用植物油中での分布割合と含量が低いうえに、必須脂肪酸としての効力はリノール酸よりかなり劣ります。

図:必須脂肪自主欠乏症状の治癒に対する各種脂肪酸の効力(ラット)

必須脂肪酸として機能するには、二重結合はすべてシス型でかつメチレン基が二重結合間に介在する(methylene interrupted 構造)と同時に、二重結合の位置も一定であることが要求されています。

ω命名法を採用すると系統的に理解されやすくなります。

リノール酸とアラキドン酸はω6系列、リノレン酸はω3系列に属します。

一般の植物油はリノール酸を多く含みますが、とくにサフラワー油(紅花油)では全脂肪酸の80%にも及びます。

その他、ヒマワリ油・トウモロコシ油・大豆油などもよい給源です。

生体内で脂肪がエネルギー源として利用されるような環境下では、脂肪組織の脂肪(トリグリセリド)がホルモン感受性リパーゼにより加水分解され、脂肪酸を遊離しこれが血流を介して肝臓その他の組織に運ばれて、β-酸化を介して燃焼され、エネルギーを供給します。

このような脂肪酸を遊離脂肪酸といいますが、血液中ではアルブミンと結合した状態で輸送されるので、非エステル型脂肪酸ともいわれています。

なお、油脂の精製度が低い場合や、油脂にリパーゼが作用した場合には、しばしば脂肪酸が遊離状態で含まれます。

この遊離脂肪酸の量を表す値として、酸価があり油脂の品質を判定する一助となります。

日本農林規格(JAS)では各精製油脂について酸価の許容値が定められています。

図:高等動物における脂肪般の生合成と不飽和化反応





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