胃・十二指腸潰瘍を防ぐ
強力な胃酸の攻撃から胃腸の粘膜を守るには、暴飲暴食をやめ、1日3食、規則正しい食生活を続けることです。
●症状:胃酸と粘液の攻守バランスの乱れ
★胃酸の攻撃による自己消化
胃・十二指腸潰瘍とは、内壁の一部がただれで出血したり、傷ついてえぐれる病気です。
胃や十二指腸は、つねに胃酸など強いタンパク質分解作用を持った消化液にさらされていますが、不思議なことに臓器自身を消化しません。
この自己消化をブロックしているのが粘膜や粘液などです。
しかし、さまざまな理由から胃の粘膜や粘液を中和する働きに異常が起こると、消化液の攻撃を守りきれず、潰瘍ができます。
胃・十二指腸は、粘膜の防御と消化液の攻撃のバランスがくずれることから起こります。
いったんバランスがくずれると、粘液かうすくなり、胃壁に潰瘍ができ、ひどいときにはん穴があくことさえあります。
●要因:過度のストレスやビロリ菌、食生活の乱れ
★ストレスで血管収縮や胃酸過多
攻撃と防御の攻守バランスがくずれる原因には、まず第一にストレスがあります。
ストレスを受けると血行が収縮して狭くなり、血液の流れが悪くなり、粘液が充分に供給されません。
すると、粘液の防御機能が低下し、潰瘍ができやすくなります。
過度のストレスは消化液の分泌を盛んにする作用もあるため、胃酸過多となり、胃の粘膜を傷つけます。
★ヘリコバクター・ピロリ菌
細菌になって、ヘリコバクターピロリという細菌が胃・十二指腸潰瘍の原因の一つでることもわかりました。
本来は胃の中には住めないはずですが、ピロリ菌は自ら消化液を中和する物質をつくり出して、胃の中に住みつきます。
食生活の乱れも潰瘍ができる大きな要因の一つです。
空腹で胃がからっぽの状態でも、消化液は分泌されています。
このため、食事と食事との間の時間があき過ぎると、胃が直接消化液にさらされ、粘膜の負担は大きくなります。
朝食を抜いたり、昼食を食べたきり深夜まで食事をせずにいる人は、潰瘍の危険が高まります。
●いったい何者?ピロリ菌の正体
正式名は、ヘリコバクター・ピロリ。
ピ口リとは、胃の幽門部を指し、そこから多く見つかることに由来します。
40歳以上の約70%が感染しているといわれ、胃・十二指腸漬瘍や胃がんに関与します。
お茶やココアなど、ポリフェノール類が抑制効果を持つという報告もあります。
●胃に負担をかけない食事
ゆっくりとよくかんで腹八分目。1日3回、規則正しい食事を。
★胃・十二指腸を守る栄養素をとる
不規則な食事、暴飲暴食をやめ、1日3回の規則正しい食事が基本です。
そのうえで、ビタミンA・C・Eや、ビタミンUなど、胃粘膜を活性化させたり、修復する働きのある栄養素を含む食品を積極的にとります。
★刺激の少ない食品を選ぶ
漬け物・とうからし・梅干し・酢・レモンなど、味の濃いものや、酸味の強いもの、香辛料などは胃を刺激するので食べ過ぎないようにします。
また、熱すぎるものや冷たいものも胃を刺激するので避けましょう。
★かたいもの、繊維の多いものを控える
よくかんでゆっくり食べると、消化吸収がよくなります。
イ力・タコ・竹の子・ごぼう・セロリなど、かたいもの、繊維の多いものは食べ過ぎに注意しましょう。
細かく切る・すりつぶす・やわらかく煮る・蒸すなどの調理法で胃の負担を減らせます。
★食事のポイント
副菜:ビタミンA.Cの多い野菜をやわらかくうす味に調理。
主菜:魚や肉・卵・大豆製品などタンパク質食品をきちんと。
主食:よくかんで食べる。
もう1品:胃の粘膜を保護する牛乳やヨークルトを毎日とる。
繊維や脂肪の多い食材は避けるか、細かく切る・すりつぶす・やわらかく煮る・蒸すなどの調理方法に。
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