生命を支える基礎代謝
安静時にも黙々と続く呼吸、心拍、体温などの生命活動。生きるために最低限必要なエネルギー代謝です。
●1日の総消費エネルギー量の約70%に相当
★安静時にも最低限必要なエネルギー
睡眠中など体を横にした身体的安静状態でも、呼吸、心臓の動き、体温の維持など、さまざまな生命活動が続いています。
基礎代謝とは、このような生きていくために最低限必要な最小のエネルギー代謝量と定義されています。
1日の総消費エネルギー量は、この基礎代謝に身体活動(仕事・家事・運動など)と特異動的作用(食後に高進する栄養素の代謝)によるエネルギー消費を合計したもので、その約70%が基礎代謝量に相当するとされています。
★年齢などさまざまな条件で変化
基礎代謝には個人差があります。
成長するにつれ高くなり、16~18歳前後でピークとなり、18歳男性(身長171㎝、体重60㎏)で1日約1550キロカロリー、女性(身長158㎝、体重51㎏)で1210キロカロリー。
その後は徐々に減って40歳を過ぎると急激な下降線をたどります。
50歳代男性(身長164㎝、体重63㎏)では1日1350キロカロリー、女性(身長151㎝、体重54㎏)では1日1110キロカロリーにまで低下します。
この事実を無視してエネルギーオーバーの食事を続けていると、脂肪がどんどん身につく結果となります。
逆に、主食抜きなど無理なダイエットをすると、基礎代謝に必要なエネルギーすら補給されなくなり、生命維持が危うくなっていきます。
●基礎代謝と身体活動強度に見合った食事量を
★エネルギー消費が多い肝臓や筋肉
成人の体の臓器で基礎代謝レベルのエネルギー代謝率が比較的多いのは肝臓や脳、筋肉などです。
歳をとるとともに基礎代謝が低下する理由の1つは、筋肉が衰えて減少することです。
また、同じ体重でも脂肪が少なく筋肉質の人ほど基礎代謝が高くなります。
女性が男性より基礎代謝が低いのも体脂肪が多く、筋肉が少ないためです。
年齢に見合った基礎代謝は、体重と基礎代謝基準値(体重1㎏当たりの基礎代謝量の目安)を使って計算することができます。
同じ年齢・性でも身体活動レベルが違うと、1日の摂取エネルギー量が違ってきます。
体格や活動量に合ったエネルギー量を知るには、この基礎代謝量と身体活動レベルから計算できます。
★基礎代謝を高めるダイエット
食事だけでダイエットを行うと脂肪とともに筋肉量も減り、基礎代謝が低くなってしまいます。
基礎代謝が低いと脂肪が蓄積しやすくな悪循環に陥ります。
筋肉量を増やし、脂肪を効率よく燃やすためには、適度な運動を取り入れたダイエットを続けるのがコツです。
性・年齢・身体活動強度から基礎代謝を計算しましよう
基礎代謝におけるエネルギ一代謝の比率
1日の基礎代謝量Aを計算し、さらに身体活動強度を加味して、望ましし1日の摂取エネルギー量Cを計算してみましよう。
この計算法は、「肥満」や「やせ」でない標準的な体位(身長・体重)が前提です。
A 基礎代謝量=基礎代謝基準値 B kcal×体重 ㎏
●計算例 20歳代女性で身長158cm、体重50kgの場合 22.1×50≒1105kcal
B 性・年齢階層別基礎代謝基準値(1日体重1㎏当たり基礎代謝量の目安)
C 1日のエネルギー必要量=1日の基礎代謝量 A kcal×身体活動レベル D
●計算例 1日の基礎代謝量1105kcalで、身体活動レベルが普通(Ⅱ)の場合
1105X1.75≒1934kcalが1日のエネルギー摂取基準量
D 身体活動レベル(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ))と指数(指数は18~69歳の場合)
低い (Ⅰ)1.50
・生活の大部分が座っていて静的な活動が中心。
普通 (Ⅱ)1.75
・座位中心の仕事だが、職場での移動や立位の通勤、家事、軽スポーツなどのいずれかを含む。
高い (Ⅲ)2.00
・移動や立位の多い仕事への従事者。スポーツなど運動習慣がある。
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