食欲のしくみ
食欲は、脳の視床下部にある摂食中枢と満腹中枢によってコントロールされています。
●生理的に起こる食欲のしくみ
★血糖値が低下すると食欲がわく
血液中のブドウ糖濃度を「血糖値」といいます。
血糖値は食後上昇しますが、だんだん低下し、やがて空腹時血糖値(血糖値70~110㎎/dl)になります。
この血糖濃度に、脳の視床下部にある摂食中継が反応すると空腹感が生まれ、食欲がわいてきます。
また、血糖値が空腹時血糖の約2倍になると視床下部の満腹中枢が反応して満腹感が生まれ、食欲がなくなります。
★胃壁が縮むと食欲がわく
胃に食べ物が入ると胃壁がのびます。
すると、その変化に副交感神経が反応して満腹中枢を刺激し、満腹感を起こします。
一方、胃の内容物が腸へ送られると胃壁が縮みます。
それには交感神経が反応して摂食中枢を刺激し、空腹感を起こすので食欲がわいてきます。
●感覚的に起こる食欲のしくみ
★おいしい情報は摂食中枢を刺激
食欲は、食べ物の味や見た目・香り・食感・料理を作る音・食事をする雰囲気によっても影響を受けます。
食べ物やその周囲の情報は、口や目・鼻・耳などから神経を介して大脳皮質のそれぞれの感覚野に送られ、味・色・香りなどの情報が統合されます。
その結果と食体験の記憶・知識などが脳の扁桃体という部分で統合され、おいしい・まずいなどの判断がなされます。
こうした情報は視床下部に送られ、おいしいという判断は摂食中枢に伝わるので食欲がわき、まずいという判断は満腹中枢に伝わるので食欲が起こりません。
別腹は脳がつくり出している?
食事をしたばかりでおなかがいっぱいでも、デザートにおいしそうなケーキが出てくると食欲がわいてきます。
これは、おいしそうなケーキの色や形、以前に食べたケーキのおいしかった記憶などが脳の扁桃体で統合されることにより、脳内にドーパミンという快感物質が増えて摂食中枢を刺激するからです。
その刺激が生理的な満腹感にまさると、あたかも別腹があるかのようにケーキを食べてしまうのです。
★生理的に起こる食欲のしくみ
★感覚的に起こる食欲のしくみ
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