肝機能低下を防ぐ
体の「化学処理工場」である肝臓は、24時間黙々と働き続けるタフさが特徴。栄養補給など日ごろのケアが大事です。
●症状:タメージを受けても症状が出ない
★栄養代謝や解毒のパワーが低下
肝臓は、栄養代謝や解毒、胆汁分泌といった「肝心かなめ」の重要な働きを日々黙々とこなしています。
肝機能が低下すると、まず栄養素の供給が滞り、さらに毒物や老廃物が排泄されなくなって体内に蓄積され、悪化すると、疲労感や倦怠感が現れてきます。
肝臓のおもな病気には急性肝炎と慢性肝炎があり、肝硬変や肝臓がんへと進行することがあります。
肝臓はかなり悪くなっても症状が現れにくいので、肝機能に異常がないか定期的に検査することが大切です。
●要因:ウイルス感染や暴飲暴食
★肝炎のおもな原因はウイルス感染
肝炎とは、肝臓に急性の炎症が生じ、機能低下に陥る病気です。
薬物アレルギーやお酒の飲み過ぎでも起こりますが、おもにウイルス感染によって起こります。
ウイルス感染を予防しつつ、アルコール飲料の飲み過ぎといった食生活を改善すれば、肝臓への負担が減り、肝機能の低下を防ぐことができます。
★脂肪肝の原因は暴飲暴食
脂肪肝は、肥満・糖尿病・アルコールのとり過ぎが3大要因といわれています。
肥満によって体脂肪が増えると、それに伴い肝臓に蓄積される脂肪も増えます。
また、糖尿病の人は代謝が悪いため、脂肪がたまりやすく、脂肪肝を起こします。
アルコールは肝臓で解毒されるため、お酒を飲み過ぎると肝臓に負担をかけます。
その結果、肝機能が低下し、栄養素の代謝が悪くなり、代謝されない脂肪が肝臓にたまるという悪循環を起こします。
●実際に飲んだ純アルコール量の計算法
お酒によってアルコール度数が異なります。
実際に飲んだアルコールの量を知るには、〔飲んだ量×アルコール度数(%)×比重(0.8)〕の式で計算できます。
アルコール度数5%のビールを大びん(633ml)1本飲んだとすると25gとなります。
純アルコール22gを1単位と考えると、日本酒なら1合、焼酎なら0.6合、ワインなら1/4 本となります。
アルコールの肝臓での処理能力には個人差があり、体重60~70kgの人で、1時間に7~9gとされています。
1単位が代謝されて消失するためには約3時間もかかる計算となります。
●肝臓に負担をかけない食事を
ウイルス感染を予防し、食べ過ぎ、飲み過ぎの食生活を改善します。
★タンパク質を毎日「適量」とる
タンパク質は肝細胞の再生のために重要な栄養素。
必須アミノ酸をバランスよく含む魚介・肉・卵・乳製品をメインに、大豆製品など植物性タンパク源もバランスよくとりましょう。
★アルコールはできるだけ控える
アルコールのとり過ぎは肝臓にダメージを与えます。
1日の許容量は純アルコール量で1単位22g程度(日本酒なら1合、ビールなら大びん1本、焼酎なら0.6合)。
症状が出たら禁酒!
★ビタミンをしっかりとる
タンパク質、脂質、糖質の3大栄養素の代謝が活発に行われるのが肝臓。
代謝にはビタミンのサポートが欠かせません。
ビタミンの代謝も肝臓で行われます。
★3食規則正しくとり、食べ過ぎ防止
1日3回の食事をできるだけ規則正しく、できるだけ均等の量に分けて食べると、肝臓に負担をかけません。
夜遅い飲食や朝食抜き、ドカ食いなど、日周リズムを乱す食生活は、肝臓に負担をかけます。
★食事のポイント
副菜:ビタミン・ミネラル・食物繊維の多い野菜を充分に。
主菜:魚・肉・大豆製品・卵など質のよいタンパク質をきちんととる。
主食:3食きちんと食べる。
もう1品:ごはんの代わりにアルコールはダメ。
タンパク質と豊富な食物繊維の食事を心がけましよう。
エネルギーや食塩のとり過ぎに注意。
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