- ダイエットとビタミンAを正しく理解
- ビタミンAとは
- ビタミンAの生理作用
- ビタミンAが過剰になると
- ビタミンAが不足すると
- そもそもカロチンは、いつからカロテンと呼ぶようになったのか!
- 「β-カロテン」は小腸壁でビタミンAに変わる
- ビタミンAまとめ
- ビタミンAの上手なとり方
- ビタミンAを多く含む食品
- ビタミンA(vitaminA、retinol)とは(学術向上予備知識編)
- 角膜乾燥症(xerophthalmia)とは(学術向上予備知識編)
- 角膜軟化症(keratomalacia)とは(学術向上予備知識編)
- 暗がりで目が見えにくくなるのは、ビタミンA不足です。暗順応(dark adaptation)とは(学術向上予備知識編)
- ロドプシンは夜盲症に含まれます。夜盲症(night blindness)とは(学術向上予備知識編)
- βーカロテンはカロチノイドとして記載します。カロチノイド(carotenoids)とは(学術向上予備知識編)
- 人参=ニンジン(carrot,Daucus carota L.)とは(学術向上予備知識編)
- カロチン血症(carotene-mia)とは(学術向上予備知識編)
- 緑黄色野菜(dark green or yellow vegetables)] とは(学術向上予備知識編)
- 葉菜類とは(学術向上予備知識編)
ダイエットとビタミンAを正しく理解
ビタミンAとは
皮膚や粘膜、目の健康を維持するたに不可欠なビタミンで、抗酸化力を持つことでも注目されています。
ビタミンAの生理作用
感染症の予防や強い抗酸化力
老化やがんの抑制効果
ビタミンAは、皮膚やのど、鼻、肺、消化管などの粘膜を正常に保つ働きをするため、感染症を予防し、免疫力を高めることにも役立っています。
ビタミンAによる発がん抑制作用も多くの動物実験により認められています。
ビタミンA前駆体のβ-カロテンは、抗酸化力を持ち、有害な活性酸素を消去し、老化やがんの抑制に働きます。
うす暗がりで光を感じる力に関与
ビタミンAは目が光を感じるのに必要な網膜の色素ロドプシンの主成分です。
ロドプシンは暗い所でもわずかな光に反応してこわれ、脳に刺激を伝えた後、元の形に再生されます。
この過程を暗順応といい、映画館などでよく経験します。
多いと、体内での合成量が減るようにうまく調節されています。
ビタミンAが過剰になると
頭痛や嘔吐、先天異常につながります。
ビタミンAは脂質性のため、摂り過ぎると体内に蓄積し、脳圧高進症(嘔吐や頭痛などの症状)、骨障害、脂肪肝などの過剰症が起こります。
妊娠初期に摂り過ぎると、胎児の奇形が増えることも確認されています。
β-カロテンは、体内で必要に応じてビタミンAに変換されるので、過剰症は起こりません。
ビタミンAが不足すると
感染症にかかりやすなります。
ビタミンAが欠乏すると皮膚や呼吸器の粘膜が弱くなり、感染症にかかりやすくなります。
また、暗がりで目が見えにくくなり、ひどくなると夜盲症になります。
子どもでは成長障害を起こします。
そもそもカロチンは、いつからカロテンと呼ぶようになったのか!
それは、日本食品標準成文表でカロチンの項目がカロテンに改訂されたことによります。
日本食品標準成分表が改訂された月日は、2000年11月です。
また、何故このように、カロテンに改訂されたのかは国内外の読み方の問題だったりして定かではありません。
「β-カロテン」は小腸壁でビタミンAに変わる
緑黄色野菜の色素成分のβ-カロテンは、吸収されるときに小腸壁で酵素によってビタミンAに変換されるため、ビタミンA前駆体とも呼ばれます。
β-カ口テンはビタミンAが2個結合した形をしており、β-カロテン1分子からビタミンA2分子がつくられます。
体内におけるビタミンAの必要量に応じて、部分的にビタミンAに変換されます。
ビタミンAまとめ
化学名・別名:スレチノール、βーカロテン
性質:淡黄色、脂溶性、光・熱・酸素に弱い
生理作用:網膜色素の成分、皮膚・粘膜を健康に保つ、抗がん作用
とり過ぎた場合:脳圧高進症、骨障害、脂肪肝、妊婦では胎児に奇形や流産
不足した場合:夜盲症、成長障害
1日の摂取基準:成人男性 850ugRE 成人女性 650~700ugRE 男女上限 2,700ugRE
ビタミンAの上手なとり方
β-カロテンは油脂といっしょとると吸収率がアップします。
動物性食品に多く含まれるビタミンAは、どのような食べ方でもよく吸収されます。
緑黄色野菜に多いβ-カロテンは、腸管からの吸収率がビタミンAの約3分の1で、さらに脂肪含量や調理法によって吸収率が10~60%と大きく異なります。
脂溶性のため野菜は、生よりは油脂といっしょに調理して摂ると小腸での吸収率が高まります。
ビタミンAの1日摂取基準
ビタミンAを多く含む食品
卵や牛乳、チーズにも多く含まれる。
β―カロテンは緑黄色野菜に多い。
ビタミンA(vitaminA、retinol)とは(学術向上予備知識編)
〔ビタミンAの歴史〕
1906~1912年に、シロネズミをカゼイン、デンプン、砂糖、ラードおよび無機塩を混じた餌で育てると育たず死亡してしまうが、1日3mlの牛乳を混ずると成長しはじめることから、牛乳の中に(accsesory food factor)があるとしました。
その後その有効因子が、牛乳、バター、卵黄、タラ肝油から抽出され、脂溶性であることから脂溶性A(fat-soluble A)と名づけられました。
〔ビタミンAの化学的本体〕
レチノール1は下記図のようで、3の位置で脱水素したものをレチノール2といいます。
図:レチノール1
終末のアルコールがアルデヒドになったものをレチナール(retinal)、酸になったものをレチン酸(retinoic acid)といいます。
〔プロビタミンA〕「カロチンはカロテンとして記載」
β-カロテンは下記図の構造で、β-カロテン-15,15´-酸化酵素によって分解し、2分子のAとなります。
図:β-カロテン
α-、γ-カロテン、β-ジ-カロテンは、分子の半分がレチノールと違う構造をしていますので、分解によって1分子のAしか生じません。
〔ビタミンAの生理作用〕
レチナールは視紫紅(visual purple)の成分として重要で、網膜において明るさを感ずることに関係しています。
レチノールは上皮細胞の生理に必要で、不足すると角膜乾燥症(xerophthalmia)になり、終局的には角膜軟化症(keratomalacia)にいたります。
角膜乾燥症(xerophthalmia)とは(学術向上予備知識編)
〔角膜乾燥症の原因〕
ビタミンA欠乏によっておこる欠乏症状の一つです。
〔角膜乾燥症の理由〕
ビタミンAの欠乏は、一般に上皮組織細胞の角化をひきおこします。
それにより、角膜においては涙腺よりの涙の分泌が減少または停止し、乾燥症をひきおこします。
角膜軟化症(keratomalacia)とは(学術向上予備知識編)
〔角膜軟化症の原因〕
ビタミンA欠乏によっておこる欠乏症状の一つです。
〔角膜軟化症の理由〕
ビタミンAの欠乏は、一般に上皮組織細胞の角化をひきおこすのは角膜乾燥症と同じですが、それにより角膜においては、上皮細胞の変性、破壊がおこり、軟化の傾向を示します。
皮膚では角化(keratosis)が進み、汗腺孔が閉じて、乾燥症となります。
気管・気管支では線毛がとれ、細菌が繁殖して肺炎を発症しやすくなります。
〔ビタミンAの所要量〕
ビタミンAの所要量は、1942~1944年にイギリスで行われた人体実験の結果として、成人の場合1,300I.U.(390μg)を必要量とする、という成績にもとづき、約50%の安全率をみて、男子2,0000I.U.、女子1,800I.U.と定められています。
乳児の場合は母乳中に含まれるビタミンA量を参考として1,300I.U.と定められて、妊婦・授乳婦の場合は生理的必要を考慮して付加量が定められています。
〔ビタミンAの給源〕
国民栄養調査の結果によれば動物性食品などによるビタミンA摂取量は1人1日に平均約550I.U.、緑黄色野菜などによる摂取量はビタミンA効果として約1,500I.U.です。
このことから、緑黄色野菜のビタミンA源としての重要性がわかります。
なお人体においては、カロテンの消化管吸収率は1I.U.についてビタミンAの1/3にあたるので、それによりビタミンA効力が算定されています。
暗がりで目が見えにくくなるのは、ビタミンA不足です。暗順応(dark adaptation)とは(学術向上予備知識編)
ビタミンA不足による暗順応
〔暗順応の定義〕
明るいところから急に暗いところに入ったとき、眼が光量の不足に適応してそれなりの条件で最大の機能をいなむようになることです。
〔暗順応の生理的意義〕
眼は光量に応じて瞳孔を縮小したり拡大したりして、網膜に対する光のエネルギーの刺激を調節します。
したがって光量が減少すれば瞳孔をひらき、網膜に到達する光量を最大限にしようとします。
そして網膜においては、光のエネルギーを電気のエネルギーに転換して視神経線維に送りこむ細胞(錐体細胞)が機能します。
錐体細胞におけるその機能にはビタミンAが関与しており、視紫紅といいます。
したがってビタミンAが不足すると暗順応がにぶり、光量が不足すると視力が減退します。
すなわち暗順応が低下します。
〔暗順応の応用〕
この現象を利用して、ビタミンA不足の早期発見に役立てることができます。
ロドプシンは夜盲症に含まれます。夜盲症(night blindness)とは(学術向上予備知識編)
〔夜盲症の原因〕
眼の網膜の杆状体という細胞は光量に関係し、視紅(ロドプシン)の存在によって光のエネルギーを電気のエネルギーに変え、視覚中枢に刺激を送って明るさを認識します。
視紅の量が少ないと弱い光では十分な反応がおこらず、その結果ものが見えなくなります。
この状態を夜盲症といいます。
〔夜盲症の予防と治療〕
視紅はビタミンA(レチノール)の酸化物です。
ビタミンAアルデヒド(レチナール)がオプシン(タンパク質)と結合してできたもので、ビタミンAの摂取量が不足すると不足し、夜盲症の原因となります。
したがってビタミンAあるいはプロビタミンAであるカロテンを十分摂取することによって予防することができます。
βーカロテンはカロチノイドとして記載します。カロチノイド(carotenoids)とは(学術向上予備知識編)
〔カロチノイドの種類〕
カロチノイドの種類は約100種類あり、その多くは野菜の黄赤色の色素として存在しています。
〔カロチノイドの本体〕
もっとも重要なのは3-カロテンで、下記図の構造をもち、クロロフィルと共存して組物体に広く分布します。
図:β-カロテン
摂取した場合、小腸粘膜にあるβ-carotene-15、15´-oxygenaseにより分解されビタミンA(retinol)2分子となります。
α-カロチン、γ-カロチン、クリプトキサンチン(cryptoxanthin)、β-ジ-カロテン(zeacarotene)は、分解して1分子のレチノールを遊離します。
その他のカロチノイドすなわちキサントフィル(xanthophyll、クロロフィルと共存します)、リコピン(lycopene、トマトの色素)などはプロビタミンAではありません。
〔カロチノイドの存在〕
緑黄野菜はβ-カロテンが豊富で、ニンジンは、とくに秀れた給源です。
赤色ヤシ油にはα-カロテンが多いです。
〔カロチノイドのビタミンA作用〕
β-カロテンの消化管吸収率は食物中脂肪量によって影響を受けますが平均して6μgがレチノール1μgと同活性を示すとされています。
量は国際単位(I.U.)で示されますが、ビタミンA1I.U.はβ-カロテン0.6μgに相当します。
人参=ニンジン(carrot,Daucus carota L.)とは(学術向上予備知識編)
ニンジンはセリ科の植物で、根を食用とします。
〔ニンジンの品種〕
三寸ニンジン、長ニンジンなどがあります。
〔ニンジンの成分〕
ニンジンの甘味は、ブドウ糖、シュクロースによります。
ニンジンの黄燈色はβ-カロテンを主とするカロチノイド色素によります。
ニンジンの細胞の切片を光学顕微鏡でみると、カロテンの結品が確認できます。
カロチノイド色素の60%程度はβ-カロテンで、α-カロテンが30%、γ-カロテンが残りの大部分を占めます。
アスコルビン酸オキシダーゼを含むので、ニンジンのおろし汁は、大根おろしと混ぜるとアスコルビン酸の酸化を行うことになります。
濃色のものでは、カロテン合量が6mg%にも達するものもあります。
カロチン血症(carotene-mia)とは(学術向上予備知識編)
食物中に含まれるカロチノイドは小腸粘膜で吸収される場合、β-カロテンのようにビタミンAに転換されうるものはビタミンAとなり、血中に移行しますが、転換されなかったカロチノイドは血液中にそのまま入り、リポタンパク質によって全身に選ばれます。
運ばれる量が多い場合には、四肢ことに掌などにカロチノイドが沈着し橙黄色に着色することがあります。
この現象を陳皮症とよぶこともあります。
この沈着物は自然と移動し、着色は消失します。
緑黄色野菜(dark green or yellow vegetables)] とは(学術向上予備知識編)
野菜は、一般にその色調で緑黄色野菜と淡色野菜に分けられます。
これは、その色調が赤、黄、緑色を呈するものを緑黄色野菜とよひ、また有色野菜ともいわれています。
〔緑黄色野菜の種類〕
緑黄色野菜と淡色野菜の違いは、そのカロテン含量によって区別され、カロテン含量1,000I.U.以上のものを緑黄色野菜とよんできました。
このため緑黄色野菜はカロテン、ビタミンC、鉄など栄養上必須な微量成分を多く含むのに対し、淡色野菜は、色調も淡く、主としてビタミンCの供給源となっています。
色調が濃くてもトマトのようにカロテンンの少ないものは緑黄色野菜ではない点に注意する必要があります。
一般にホウレンソウ、コマツナのように色の濃い葉菜類、カロテンの多いカボチャ、ニンジンなどの果菜、根菜が代表例です。
日本食品標準成文表では、可食部100g中にカロテン600μgを含むものに㊒の記号をつけて区別しています。
野菜中のカロテンの利用率は、調理法で大きく支配されます。
また小腸壁でのカロテンからビタミンAへの転換は人のビタミンAの栄養状態でも支配されます。
一般に、油に溶解したカロテンの利用率は高いですが、単にゆでたり、煮たりしたカロテンの利用率は低<10%程度あるいは、それ以下とされることが多いです。
したがって緑黄色野菜を生食したときなどのカロテンの利用率は0に近いと考えてよいです。
そのため、緑黄色野菜をとるときは、調理法をよく考える必要があります。
その他のビタミン、鉄、カルシウムなどのミネラルは、調理で損失するものを除けば、ほぼ利用されます。
葉菜類とは(学術向上予備知識編)
〔葉菜類の種類〕
おもに葉の部分を食用に供する野菜で、ハクサイ、キョウナ、コマツナ、ホウレンソウ、フダンソウ、チシャ、シュンギク、パセリ、ミツバ、セリ、シソ、キャベツなどがあります。
〔葉菜類の成分〕
水分が90~95%を占め、栄養価の面ではビタミンとミネラル含量が多いです。
同じ葉菜でもハクサイ、キャベツのように食用部が淡色のものは、カロテンが少ないですが、ホウレンソウ、コマツナ、シュンギクなど緑黄色の葉菜(緑黄色野菜、濃色野菜)はカロテンに富み、ビタミンAの給源となります。
ビタミンB2、ビタミンC、カルシウム、鉄分の含量も淡色の菜菜に比べて多いです。
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