- ダイエットとタンパク質を正しく理解
- タンパク質とは
- タンパク質とは20種のアミノ酸で10万種類を構成しています。
- タンパク質の生理作用
- タンパク質が過剰になると
- タンパク質が不足すると
- 強固な結合力でタンバク質はつくられています。
- タンパク質まとめ
- タンパク質の変性
- タンパク質の1日摂取基準
- タンパク質の種類
- タンパク質(protein)とは(学術向上予備知識編)
- タンパク質のエネルギー栄養異常とタンパク質のカロリー栄養異常は消耗症として記載します。消耗症(nutritional ma-rasmus)とは(学術向上予備知識編)
- タンパク質のエネルギー栄養障害はタンパク質栄養障害として記載します。タンパク質栄養障害(protein-energy-mal-nutrition,PEM)とは(学術向上予備知識編)
- タンパク質換算係数は窒素タンパク質換算係数として記載します。窒素タンパク質換算係数(nitrogen protein conversion factor) とは(学術向上予備知識編)
- タンパク質結合性沃素(protein-bound iodine,PBI)とは(学術向上予備知識編)
ダイエットとタンパク質を正しく理解
タンパク質とは
筋肉や臓器など体を構成する主成分として重要です。
また、「プ口テイン」はギリシャ語の「第一のもの」が語源です。
血圧とナトリウムはとても関係が深いので、正しい知識をダイエットや健康管理を行いましょう。
タンパク質とは20種のアミノ酸で10万種類を構成しています。
タンパク質は、アミノ酸が多数結合した高分子化合物のことで、炭素・水素・酸素のほか、窒素やイオウを含むのが特徴です。
アミノ酸の種類や量、配列順序などによって、タンパク質の形状や性質、働きは異なります。
人の体は約10万種類ものタンパク質で構成されていますが、これらはわずか20種のアミノ酸によってつくられています。
アミノ酸だけで構成される単純タンパク質と、アミノ酸以外の成分も含む複合タンパク質に分類されます。
ポイント!
タンパク質を極端に制限して自己流ダイエットを行っている方も多いのではないでしょうか。
しかし、これには注意が必要です。
特に女性の方に意識してほしいのですが、タンパク質はこれから妊娠を望場合や健康管理からも筋肉・皮膚・髪の毛などを作る重要な栄養素となります。
もう少し詳しく記載しますが、タンパク質は私達ので作ることができない必須アミノ酸が多く含まれており、タンパク質が不足しだすと、肌荒れ・髪の毛が痛む・内臓機能低下等から冷え性の原因となります。
タンパク質の性質を医学的知見から説明を行い、誰にでも分かるようにしています。
下に記載していますので読んで下さい。
美肌効果ここからが1番大切だと言えるのかも知れませんね。
タンパク質が減ると当然に筋肉も減ります。
その結果、肌のたるみを起こし、代謝の機能低下から痩せにくい体質へとなります。
また、極端なタンパク質制限ダイエットでタンパク質の不足は、ホルモンバランスが崩れますので、注意が必要です。
ダイエット中でもタンパク質は十分に摂り込み、ホルモンバランスも維持しながら健康美人になれるように心がけて下さい。
それともう一つ注意して下さい。
タンパク質をプロテイン系で補っている方が多いのです。
プロテインを摂取していて、便秘になった事はないですか?
簡単に記述しますが、健全であればタンパク質は胃で分解し十二指腸でペプチドとなり、小腸でアミノ酸に分解されて、腸壁で吸収されます。
この悪循環により、便秘になりオナラの臭いの原因でもあります。
タンパク質の生理作用
体をつくる主成分で酵素・ホルモンにも関与しています。
タンパク質は、筋肉や臓器など体を構成する最も重要な成分で、酵素・ホルモン・免疫抗体などの原料にもなります。
リボタンパク質として栄養素の運搬にも関与しています。
タンパク質が過剰になると
とり過ぎは腎臓に負担をかけます。
タンパク質には糖質や脂質のように体に貯蔵する仕組みがなく、過剰分は尿へ排泄されます。
そのため、腎臓に負担をかけ、腎機能障害につながる恐れがあります。
尿中カルシウム排泄量も増加し、骨粗しょう症にもつながります。
タンパク質が不足すると
免疫力の低下や成長障害を起こします。
タンパク質が不足すると、人体を構成するタンパク質が分解されて不足分を補うため、体力や免疫力が低下します。
血管が弱くなり、脳卒中の危険も高まります。
子どもでは成長障害を起こします。
ここは大切です!
脳卒中の危険性や子供では成長障害が起きるのです。
安易な知識は厳禁ですので、ページの最後に詳しく医学的知見から誰にでも分かるように説明しています。
強固な結合力でタンバク質はつくられています。
アミノ酸1分子のアミノ基と、もう一方のアミノ酸1分子のカルポキシル基が脱水反応することを「ペプチド結合」といいます。
タンパク質はアミノ酸がペプチド結合で多数つながったものです。
ペプチド結合はこわれにくく、タンパク質を完全にアミノ酸に分解するには塩酸に溶かして加圧釜で1~2 日煮る必要がありますが、胃腸内の消化酵素なら容易に切断できます。
タンパク質の構造
タンパク質まとめ
構造:アミノ酸がペプチド結合により多数つながった高分子化合物とその関連物質
生理作用:筋肉、臓器などの構成成分。酵素、抗体、ホルモンの原料となる
供給源:肉、魚介、大豆、卵、牛乳など
とり過ぎた場合:腎機能障害、カルシウム排泄量の増大
不足した場合:体力・免疫力低下、成長障害、脳卒中
1日の摂取基準:成人男性 60g 成人女性 50g
タンパク質の変性
熱・酸・アルカリなどによって、タンパク質の立体構造がくずされ、形か‘変化するのを「変性」いいます。
生卵がゆで卵に変わるのは、熱による変性の一例。
タンパク質の1日摂取基準
妊娠初期は+0・中期は+5末期は+25、授乳婦は+20を付加する。
タンパク質の種類
タンパク質(protein)とは(学術向上予備知識編)
〔タンパク質の生理的意義〕
生体を構成する成分のうちでもタンパク質は遺伝情報を表現するという意味で、生命現象にとってより本質的な存在です。
遺伝情報の表現はタンパク質の構成単位である20数種のアミノ酸の配列順序によってなさていますが、その表現形態はさまざまです。
遺伝子自体の複合成分である核タンパク質、物質代謝を触媒する酵素、機能調節を行うホルモンのうちの数種、筋収縮の本体である筋原繊維、結合組織中のタンパク質、体成分を輸送する担体としてのタンパク質、乳汁中の分泌タンパク質、貯蔵的性格の強い卵や植物種子のタンパク質、免疫現象における抗体などあらゆる生命現象に関与して、それぞれに固有の機能を発現しています。
タンパク質の命名は、英語のprotein、ギリシャ語のproteios(第一に重要なものの意味)から命名されました、生命科学が進展した今日ますますそのかかわり合いを強めています。
〔タンパク質の組成図〕
図:タンパク質の1次構造
組成はタンパク質の1次構造図に示すようにアミノ酸が相互にペプチド結合して連なっているので、その成分は構成アミノ酸によって特徴づけられるといってよい。
平均的な元素組成はC53%,H7%,O23%,N16%,S2%であり、糖質や脂質などと異なり窒素とイオウが常成分であることが大きな特徴です。
窒素含量は比較的一定しているので(窒素・タンパク質換算係数)として6.25(100/16)を用いて、タンパク質の定量に利用されています。
しかし、その含量は当然構成アミノ酸によって異なるわけで、実際には15~19%の範囲になります。
このほか、複合成分を含めて考えれば、リン(リンタンパク質)、鉄(金属タンパク質)、マグネシウム(同)なども構成元素である場合があります。
〔タンパク質の構造〕
天然に存在するふつうのタンパク質は100~1,000個のアミノ酸(残基)がポリペプチド鎖を形成しており、その分子量はおよそ1~10万程度です。
それ以上の分子量をもつタンパク質はこのようなポリペプチド鎖が複数集合して分子を形成しています。
いずれのタンパク質も機能発現と不可分な立体構造をもっていますが、その構造は一般に1~4次構造に分けて説明されています。
1次構造はポリペプチド鎖中のアミノ酸配列順序をいいます。
この順序が定まれば2次以上の構造は順次形成されるといわれています。
2次構造はポリペプチド鎖の幾何学的配列をいいます。
すなわち、ペプチド結合の主鎖がどのような方向性をとるかということで、代表的なものにα-ヘリックス構造とβ-構造があります。
図:タンパク質の2次構造
タンパク質の2次構造図に示すようにβ-ヘリックス構造は主鎖がらせん形を描き、β-構造はジグザグ形を措いています。
ふつうの球状タンパク質ではアミノ酸残基の50~80%がα-ヘリックス構造に組み込まれています。
β-構造は繊維性タンパク質に特徴的であり、このポリペプチド鎖3~数本が繊維方向に並び、相互に水紫結合(>C=O…H-N<)してこより状に結ばれています。
図:タンパク質の3次構造
3次構造はポリペプチド鎖がさらに複雑な方向性をとり、特定のアミノ酸の聞で-S-S-結合や水素結合など新たな結合を生じ空間に配位することをいいます。
いわばポリペプチド鎖の最終的な立体構造ともいえます。
機能タンパク質ではこれによって生ずる特定の空間構造が作用部位になっています。
図:タンパク質の4次構造
4次構造は3次構造を完成したポリペプチド鎖が、さらに復数会合し、新たな特性をもつ分子を形成することをいいます。
ヘモグロビン、グリコーゲンホスホリラーゼなどは4個会合した4量体の例として知られています。
タンパク質の2~4次構造は種々の物理的、化学的要因によってほどけるように変形しやすい性質があります。
このためタンパク質本来の機能を失うことがありますが、この現象をタンパク質の変性(denaturation)といいます。
〔タンパク質の分類〕
図:溶解性に基づく分頬
図:複合性分に基づく分頬
図:分子の形態に基づく分頬
図:機能に基づく分頬
タンパク質の分類にについては、化学的性質から溶解性にもとづく分類、複合成分による分類、構造による分類、生理的機能にもとづく分類などが試みられてきました。
これらを表に示しましたが、なかには便宜的なものもあり、あまり厳密に考えるとあてはまらない場合があることを注意する必要があります。
また、これらの分類とは別に天然タンパク質が酵素、酸、アルカリなどの作用をうけて二次的に変化して生じたタンパク質のことを総称して誘導タンパク質(de-rived protein)といういい方があります。
コラーゲンを水で加熱処理してえられるゼラチンはその代表的な例です。
〔タンパク質の栄養素としての特徴〕
タンパク質の栄養素としての意義
第一の意義は、体タンパク質の合成に必要なアミノ酸を供給することにあります。
アミノ酸は体内で大部分がタンパク質に合成されますが、一部はオリゴペプチド性の生理活性物質(バソプレシン、グルタチオン、クレアチンなど)および核酸、補酵素、ATPなどに含まれるヌクレオチド、血色素中のポルフェリンなどの合成にも使われるので、素材としての意味はいっそう重要です。
第二の意義は、アミノ酸が体内で分解をうけ、炭酸ガス、水、尿素などに至る過程でエネルギーを供給することにあります。
タンパク質1g当たりの供給エネルギーは約4kcal(16.7kjoul)です。
このほか、生理的作用のーっとして特異動的作用(specific dynamic action)があります。
この作用はタンパク質を摂取した後数時間のあいだ酸素消費量や発熱量を増加させることをいいます。
その増加エネルギーは摂取タンパク質エネルギーの約30%といわれ、糖質、脂質の場合のそれぞれ、6.4%に比べて著しく高いのが特徴です。
このエネルギーは仕事には利用さませんが、寒冷時の体温保持には役立つといわれています。
その増加原因は体内代謝の亢進によるものですが、脳下垂体や自律神経の働きも関与するといわれ、生浬的意義については十分に明らかにされていません。
〔タンパク質の消化・吸収〕
タンパク質の消化・吸収は乳児期では、母乳の免疫タンパク質が吸収され、また下痢などで消化管に異常のある場合には一部のタンパク質がそのまま吸収されるという例外はありますが、通常タンパク質はその構成単位であるアミノ般にまで分解きれた後に腸管から吸収されます。
ジペプチドなど低分子のペプチドも吸収されるという報告もありますが、たとえ吸収されるとしてもその割合はごくわずかであると考えられています。
タンパク質の消化はそのペプチド結合を切断する数種の加水分解酵素により行われますが、切断個所はそれぞれの酵素によっておよそ定まっています。
消化はまず胃内のペプシンによって行われ、タンパク質分子はポリペプチド鎖の内部から大まかに切断されます。
切断される箇所はおもにグルタミン酸、アスパラギン酸、システインのようは酸性アミノ酸のカルボキシル基と芳香族アミノ酸のアミノ基との間であるといわれています。
ペプシンによってある程度分解をうけたタンパク質は十二指腸に入って、トリプシンとキモトリプシンの作用をうけてさらに分解されます。
トリプシンはおもにリジン、アルギニンのカルボキシル基を含むペプチド結合を、またキモトリプシンはおもに芳香族アミノ酸のカルボキシル基を含むペプチド結合を切断するといわれています。
以上三つの消化酵素は生産される組織内においては不活性型の前駆体として存在し、その組織の自己消化が防止されているのが特徴で、その前駆体のことをとくにチモーゲン(zymogen、酵素源)とよんでいます。
すなわち、ペプシン、トリプシン、キモトリプシンはそれぞれペプシノーゲン、トリプシノーゲン、キモトリプシノーゲンとして消化管に分泌されますが、分泌後種々の活性化因子によって直ちに活性化されます。
その機構はチモーゲンのポリペプチド鎖の一部である環状部分が切断され、消化作用をもつ活性部位が表面にあらわれるためあることが明らかにされています。
これら三つの酵素により大まかに切断されて生じた低分子のペプチドは、膵液中のカルボキシルペプチダーゼと膵液および小腸液中のアミノペプチダーゼによって、それぞれカルボキシル末端とアミノ基に分解されます。
このほか、プロリン、ハイドロキシプロリンがカルボキシル末端にある場合はプロリナーゼが、またこれらのイミノ基(-NH-)が遊離している場合にはプロリダーゼが作用することが知られています。
これら二つの酵素は上記のアミノ酸を多く含むコラーゲン由来のペプチドの分解に生理的な意味があると考えられています。
消化管で有利したアミノ酸の吸収はその濃度勾配にさからって選択的に能動吸収(active absorption)されることによって、おもに小腸上部の毛細血管から吸収されます。
〔タンパク質の体内代謝〕
小腸より吸収されたアミノ酸は門脈を経て肝臓に達し、そこで肝臓自身のタンパク質や血漿アルブミンなどに合成されます。
また、一部のアミノ酸はそのまま血液中に送り出され、血液タンパク質とともに各組織タンパク質の合成素材となります。
アミノ酸は種類によって体内の代謝経路は著しく相違しますが、平均的にみるとおよそその数%はタンパク質以外の生理的に重要な窒素化合物(オリゴペプチド、ヌクレオチド、カテコールアミンなど)に合成されます。
これらの合成に利用されなかったアミノ酸はそのまま分解経路に入りますが、その割合は摂取するタンパク質の必須アミノ酸バランスが良くない場合に増加します。
体内のタンパク質はたえず合成と分解をくり返し、組織ならびに血液中の遊離アミノ酸との聞に動的平衡(dynamic equilibrium)の状態を保っています。
したがって体内のタンパク質は遊離アミノ酸プールを介してたえず食事タンパク質によってつくり替えられていることになりますが、この現象をタンパク質の代謝回転(metabolic turnover)とよんでいます。
代謝回転の速度は各タンパク質によって固有の値をもっていますが、その程度を表すのに通常は代謝回転率や代謝半減期などの値が用いられています。
タンパク質の摂取量が減少すると体タンパク質は異化方向に傾きますが、この場合比較的排出しやすいタンパク質をとくに易動性タンパク質(labile protein)または貯蔵性タンパク質(reserve protein)とよんでいます。
通常、無タンパク条件の初期(3,4日程度)に排出されるタンパク質をさしてよんでいますが、その量は生体全体のおよそ3%と見積られています。
一般に代謝回転率の高いタンパク質が減少しやすい傾向にありますが、逆の例もみられます。
臓器全体としてみると、減少割合の大きいものに肝臓、膵臓、消化管などがあり、逆に減少しにくいものに脳、結合組織などがあります。
〔タンパク質の合成と分解の機構〕
図:タンパク質合成機構の概念図
タンパク質の合成は図に示すように、アミノ酸活性化酵素と3種のRNA、すなわちメッセンジャー(伝令)RNA(m-RNA)リポソームRNA(r-RNA)、トランスファー(転移)RNA(t-RNA)がその中心的役割を演じています。
まず、核染色体中のDNAはタンパク質合成の遺伝情報をヌクレオチドの三つ組コードとしてm-RNAの形で転写します。
m-RNAは核から出てr-RNAを多く含むリボソームと結合します。
一方、各アミノ酸はアミノ酸活性化酵素によりそれぞれ固有のt-RNAと結合してアミノアシルt-RNAとなり、リポソームと結合したm-RNAの遺伝情報に従って順次配列します。
リポソーム上のm-RNAには二つの結合部位があり、アミノアシルt-RNAが結合すると直ちに先着していた方のt-RNAとアミノ酸(またはペプチド)の結合が切れ、後着したアミノアシルt-RNAのアミノ酸とペプチド結合を形成します。
その結果、先着した方のt-RNAは放出され、同時にm-RNAも一つだけ位置が移動し、見かけ上新たに生じたペプチドとt-RNAの結合体は先着の位置に移動します。
このようにm-RNAはリボソーム上をペプチド形成とは逆方向に進行します。
リボソームはm-RNA上に同時に多数配列してペプチド合成を行うので外見上リボソームが連なって結合しているように見えます。
これがポリソームといわれるもので、タンパク質合成が盛んに行われているときはその存在割合が高くなることが知られています。
一方、タンパク質の分解については、現在までに10数種の加水分解酵素が見いだされていますが、数多いタンパク質がいかに選択的に分解をうけ、この速度が調節されているかはほとんど明らかにされていません。
代表的なものとしてリゾソーム中に存在する酸性プロテアーゼであるカテプシン(cathepsin)があります。
カテプシンは現在までに10種類近くが知られています。
カテプシンAはカルポキシペプリダーゼ、Bは卜リプシン、Cはキモトリプシンに似た性質を有し、Dはヘモグロビンを、Eはアルブミンをよく分解することが明らかにされています。
このほか、リゾソーム中にはコラーゲナーゼ、ペプチダーゼも含まれています。
また、タンパク質以外の生体高分子物質を分解する酵素も多数内蔵しています。
リゾソームの生理的役割はおもに異物、もしくは自己の細胞老化物質を貧食することであると考えられています。
したがって、これらの酵素が通常の組織タンパク質の分解にどの程度関与しているのかは現在のところ不明です。
最近リゾソーム以外で細胞質に局在するセリンプロテアーゼやCa⁺⁺依存性プロテアーゼが見いだされ、細胞内の種々のタンパク質に対し基質特異性のあることが明らかにされつつあります。
図:タンパク質の栄養評価法
〔タンパク質の栄養価〕
タンパク質の栄養価は通常その利用効率で求められています。
すなわち、タンパク質の特徴的成分である窒素の出納から表に示すような方法で消化率、生物価、NPUなどが求められています。
実験動物の場合は主としてラットが用いられますが、上記のほかに体重変化を利用して、PER、NPR、RNVなどが求められています。
これらの値も内容的にはほぼタンパク質の利用効率を示しています。
利用効率で示される栄養価は、本来ならば重要な体成分や種々の生理的機能との関係が明らかにされなければならないですが、これらを含めて総合的に評価することは現段階では困難です。
このうち一般体成分、血液・尿成分、酵素活生、抗体生成能などについてはある程度関連性が明らかにされ、一般に利用効率のよいタンパク質は他の指標でも良好な値がえられています。
以上のように人間を含めた生物を用いる栄養価の測定法は一般に生物学的方法とよばれています。
これに対し、タンパク質の栄養価はその必須アミノ酸組成によって一義的に定まるという考えから、理想的と考えられる必須アミノ酸基準パターンに対する制限アミノ酸の存在割合て表す化学的評点法(chemical scoring method)も一般に行われています。
基準パターンとして現在もっとも多く用いられているものとして、人間に対してはFAO/WHO(1973年)パターン、ラットに対してはNRC(1972年)、Rama Rao(1961年)の各パターンがあります。
このうちFAO/WHO(1973年)のものをとくにアミノ酸評点パターン(amino acid sconng pattern)といいます。
このほかにも多くのパターンがありますが、FAO/WHOおよびNRCは多くの実験データから総合的に検討し、逐次改良してきているので、もっとも信頼性が高いのです。
このように化学的評点法で求められる栄養価を総称して化学価(chemical score)とよぶことが多いですが、正しくは基準に用いたパターン、あるいは個々の算定法に与えられた名称を用いる必要があります。
たとえば、FAO(1957年)のタンパク価(protein score)、FAO/WHO(1965年)の卵価(egg score)、人乳価(milk seore)これら二つは(A/E比)で算定され、まとめて化学価と呼称されていました。
同じくFAO/WHO(1973年)のアミノ酸スコア(またはアミノ酸価、amino acid score)などがあります。
数種の食品タンパク質についてアミノ酸スコアおよび平均的なNPUを示すと表のようになります。
図:食品タンパク質の栄養価
〔タンパク質の所要量〕
タンパク質の所要量についても本来は生理的機能、あるいは健康状態との関連で定められるべきですが、現在のところ的確な指標が見いだされていませんので、一般的には体タンパク質がある基準以上に保持される条件で定められています。
その基礎となる数値として、無タンパク条件で排出される不可避損失窒素量、正常の窒素平衡を維持しうる窒素量、あるいは摂取エネルギーに対するタンパク質の適正割合などが用いられているが、各国あるいはFAO/WHOなどの国際機関によってその扱い方が相違しています。
る平成6年に定められた日本人の栄養所要量では成人の場合、次のように算定されています。
図:式
その数値をもとに、かりに日本人の成人男子の体重を64kgとすると1日あたりのタンパク質所要量は約69.12gとなります。
成長期あるいは妊娠・授乳時のタンパク質所要量については不可避損失窒素のほかに余分な窒素量を摂取するよう加算されています。
平成12年推計の日本人平均1人1日当たりのタンパク質所要量は65gと算定されています。
タンパク質のエネルギー栄養異常とタンパク質のカロリー栄養異常は消耗症として記載します。消耗症(nutritional ma-rasmus)とは(学術向上予備知識編)
〔消耗症の概説〕
幼児期にみられる栄養異常のうち、全体的な栄養不足の重症なものはタンパク質・カロリー栄養異常(protein-calo-rie-malnutrition,PCM)またはタンパク質・エネルギ一栄養異常(protein-energy malnutri-tion,PEM)と名つけられ、クワシオルコル(kwashiorkor)と消耗症(nutritional marasmus)に大別されます。
消耗症はクワシオルコルよりさらに広く世界に拡がっています。
〔タンパク質・カロリー栄養異常:PEM〕
結核や麻疹などの感染症と合併しやすく、また治療しにくい。
多くの発展途上国では、貧困、政治の不備、栄養知識の欠如などのため、PEMが日常的となっており、これが世界中の乳幼児の病気や死亡の原因の大きな部分を占めています。
世界中の6歳以下の乳幼児のうち約5億人は、いつもいくらかの程度のPEMにかかっていると考えられています。
PEMは、先進国では通常見られませんが、まれに重症の疾病に付随してみられることがあります。
〔消耗症の原因〕
消耗症は、成人の重症の半飢餓(semistarvation)に似ています。
タンパク質も含めてすべての栄養素の摂取不足によりおこります。
生後約半年は通常母乳を与えられ、この間は一般に消耗症はおこりにくいです。
問題は離乳期以後です。
もっとも一般には生後1年以内の幼児を侵しますが、さらに高年齢の5~6歳ころまでみられます。
〔消耗症の症状の特徴〕
成長の遅延、筋肉の萎縮、脂肪の消耗です。
その結果、著明な体重減少、基礎代謝の低下が認められます。
しばしば患児は神経質となります。
消耗症の子どもは小さく、痩せこけて典型的な顔貌を呈し、未熟児のようにみえます。
脂肪肝や他の肝障害は現れにくいですが、胃や小腸の吸収上皮は破嬢され、消化管壁は薄くなり、消化酵素の分泌能は低下します。
消化吸収能力は低下し、下痢をおこしやすいです。
補体あるいは抗体の産生能力は低下し、細菌やビールスに感染しやすく、回復しにくいです。
〔消耗症の鑑別〕
1年未満の幼児によくみられる低栄養には、消耗症以外にクワシオルコルがありますが、これは多少とも糖質を摂取しており、エネルギー不足はあまり著明ではなく、タンパク質が極度に不足しているか、あるいはその質が劣る場合におこります。
この場合は感情的に鈍感で無気力であり、浮腫を伴うため体重減少の著明でないものもあります。
また皮膚疾患や皮膚色素の斑状脱失、毛髪の赤変、脱毛などもみられます。
消耗症では通常これらの症状はみられません。
現実に患児をみる場合、タンパク質、エネルギーの欠乏の程度により、典型的な消耗症やクワシオルコル以外に、一連の中間症候群をみることが多いです。
マラスミッククワシオルコルなどとよばれることがあります。
また同時に、各種のビタミンやミネラルの欠乏を伴うことが多いので、症状も複雑になることが多いです。
図:消耗症とクワシオルコルの症候比較
タンパク質のエネルギー栄養障害はタンパク質栄養障害として記載します。タンパク質栄養障害(protein-energy-mal-nutrition,PEM)とは(学術向上予備知識編)
〔タンパク質栄養障害の概念〕
格別の基礎疾患がなく、食事内容の量・質の不足によって、タンパクとエネルギーとが同時にしかもきまざまの割合で欠乏した病的状態です。
今なお発展途上国には存在していますが、授乳期から離乳期にかけての生後9か月ころにもっとも多く、かつ死亡率もきわめて高いです。
〔タンパク質栄養障害の分類〕
発生要因によってmarasmusとクワシオルコル(kwashiorkor)とに分けられます。
marasmusは、エネルギー不足が主因で、胃腸障害を呈し、乳児期の栄養失調症としてきわめて死亡率が高いです。
クワシオルコルはタンパク欠乏が主因で、皮膚・毛髪の変化、浮腫、脂肪肝、低血清アルブミン血症、精神心理的異常などの症状があります。
現実にはエネルギー、タンパクともに欠乏し文字どおりPEMをきたすだけでなく、ビタミン、ミネラルの摂取不足も併存することが多いです。
〔タンパク質栄養障害の症状〕
軽症PEM
軽度のPEMにみられるおもな徴候としては、小児では身長、体重の増加不良、成人では体重減少が現れ、体重/身長比が低下し、皮下脂肪厚も減少します。
また運動、精神発達が遅れます。
PEMをきたす食事内容では、鉄、葉酸などの欠之を招くので、中等度の貧血をみるようになります。
中等度、高度のPEM(1)marasmus
胃腸炎の症状ではじまり、各種の感染症、代謝疾患、吸収障害、腎疾患、中枢神経症状がさまざまの組み合わせで出現します。
不活発、無表情となることが多いです。
皮下脂肪が著しく失われて、るい痩がはなはだしくなります。
皮膚は弾力性を失い硬い感じをあたえます。
浮腫はないです。
体重は著明に低下L、急激な発症の場合は体重/身長比は減少します。
慢性の経過をとる場合はこの比はほぼ正常です。
筋力低下も著しいです。
毛髪や粘膜の病変は一般に存在しませんが、鉄やビタミン欠乏を併発すれば皮膚症状も加わります。
中等度、高度のPEM(2)クワシオルコル
発育障害、食欲不振、慢性の幅吐、下痢があり、不活発状態を呈します。
浮腫を伴い、皮膚粘膜異常を呈します。
これらの症状はきわめて徐々に進行しますが、皮下脂肪は、marasmusと異なり比較的よく保たれます。
浮腫は下肢、顔面に目立ち、浮腫液は体重の20%に及ぶことがあります。
したがって見かけ上極端な、るい痩の印象をあたえない例が少なくないです。
おもだった筋肉の萎縮が進むと筋力が低下し、運動機能が減退します。
皮膚に色素の沈着ないしは脱失があり、剝脱、潰腫などが現れることもあります。
口内炎、口唇炎、舌乳頭の萎縮が多くみとめられます。
笑顔を忘れ、四肢のふるえ、歩行障害をみます。
腹部は膨満し、水様または泥状の大量の排便を伴う長期の下痢が続きます。
糖質をはじめ、タンパク、アミノ酸、脂質、ミネラル等各種栄養素の吸収不全が合併します。
以上の体重減少や消化器症状に続いて循環器の症状も進行します。
すなわち四肢は冷たく蒼白となり、脈拍数の減少(徐脈)、低血圧がみとめられます。
腎の血液量も減少し、各種の腎機能が障害されます。
上記marasmusとクワシオルコルは同一個人に併存する場合が少なくないです。
これをmarasmic kwashiorkorといい、症状の混在割合は症例ごとに異なります。
〔タンパク質栄養障害の治療法と効果〕
軽度PEMに対しては、まずタンパク2~3g/kg/日、エネルギー100~150kcal/㎏/日を投与し、これにビタミン、とくにA、Dを追加して経過をみます。
中等度、高度のPEMには、いきなり大量の食事をあたえると、奇異反応がおこり、吸収不全がますます悪化して一層重症となります。
したがって少量頻回投与からはじめて、食欲ならびに体重の回復とともに投与量をふやします。
治療が奏効すると、神経症状、精神心理上の徴候などは比較的はやく消失します。
もちろん体格、体位等も次第に改善しますが、PEMのような極端な栄養障害に対処するためには、貧困、母親のケア-不合理、教育条件などといった個人ならびに集団としての環境条件に対するアプローチを平行してこころみることが必要です。
タンパク質換算係数は窒素タンパク質換算係数として記載します。窒素タンパク質換算係数(nitrogen protein conversion factor) とは(学術向上予備知識編)
〔窒素タンパク質換算係数の定義〕
試料中の窒素含量からタンパク質含量を推定するために、窒素含量に乗ずる係数のことをいいます。
略してタンパク質換算係数、あるいは窒素換算係数とよばれることがあります。
タンパク質の定量法として最も一般的に用いられている方法ですが、試料の全窒素にこの係数をかけて求めるタンパク質には非タンパク態窒素化合物も含まれるから、正確には粗タンパク質(crude protein)と表示すべきです。
しかし、食品成分表など実用分野では単にタンパク質として示す場合が多いです。
〔窒素タンパク質換算係数の現行値〕
現在下表のような数値が用いられています。
図:窒素タンパク質換算係数
したがって、国民栄養調査などで求められるタンパク質摂取量はこの係数をもとに計算されています。
他方、家畜栄養の分野では飼料分析を含め一律に6.25が用いられています。
また、食品産業の分野では両者を混用している場合が多いので、窒素含量をもとにタンパク質を定量するさいには、用いた換算係数を明示しておく必要があります。
タンパク質結合性沃素(protein-bound iodine,PBI)とは(学術向上予備知識編)
甲状腺ホルモン(チロキシン=T4およびトリヨードチロニン=T3)の大部分は血中で遊離の状態になく、血清タンパク質(チロキシン結合グロプリン、チロキシン結合プレアルブミンおよび血清アルブミン)と給合した状態で存在します。
したがって血清に除タンパク剤を加えて生じた沈殿、あるいは陰イオン交換樹脂処理で無機ヨウ素イオンを除いた血清の中のヨウ素の定量を行うと、この値すなわちPBIは血中の甲状腺ホルモンレベルのよい指標となります。
正常値(ヒ卜)は4~8ug/100ml血清です。
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